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Nov.29,2017
長嶋りかこ "HUMAN_NATURE"









2017年11月29日(火)、独り車で東京へ。二つめの目的地は、渋谷区神宮前にあるGYREへ。
施設内の吹き抜けには先日まで行われていたという「コンセプト・オブ・ハピネス アニッシュ・カプーアの崩壊概論」の展覧会のために制作された、カプーアへのオマージュ作品が設置されていた。デザイナー・長嶋りかこさんによる"HUMAN_NATURE"という名のインスタレーション。
もうこの日はその展覧会自体は終わっていて、このインスタレーションと展覧会との関連は感じることはできなかったのだけど、極めて大衆的な想念の宿る場の中にあって、ただ静かにその身をさらしている作品の姿がとにかく印象的に残った。
直感的に、何に対してということもなく、この空間から僕はある種の「残酷さ」を感じているようでもあった。実際ここには、美術作品として美術館に収まるわけでもなく、単なるパブリック・アートでもなく、街中や自然を舞台に自らをアート的な何かだと主張している作品とも何かが異なるもので、その意味でここにはどこか居心地の悪さのようなものがある。それは、とても珍しいバランスの中にあるような気がした。考えてみれば、こんなにヒリヒリするようなそれでいて静かな緊張感を孕んでいるインスタレーションを僕は知らない。脱領域的な場の中で流されることのなく身を置くことは普通に考えれば極めて困難であるし、逆に言えばこの世に存在している多くのアート作品はその困難を前提に作られていないのかもしれない。でも、こんなヒリヒリしたものに気づかしてくれるものこそが、私が本来美術に求めているものなのかもしれない。だからこそこれは私にとって極めて美術的な関係の中にある何かだったのではないか、そんなことを思う。
不思議な形状は私には時間を思考する記憶のかたちにも思えた。作品が建築のエレベーターのガラスに反射していると気がついた時には少し気持ちがほっとしたのだけれど、それがなぜそうなのかが未だにはっきりと分からない。


(Nov.29,2017)