+   rules


作曲上の基本ルール(2009年3月より)      (0)ひと月に1曲の小品を作曲し1年間の12曲をひとつの組曲とする。
     (1)楽器は福島諭がPiano、濱地潤一がSaxophoneを担当する。
     (2)五線譜を使用して各楽器を交互に作曲していく。
         相手の書いた最新の小節に対して自分の楽器パートを書き込むことができ、
          次に続くもう1小節を新たに書き加えることで最大2小節の作曲を毎回行うことができる。
     (3)自分が新たに書き加える小節の拍子、テンポは任意に変更できる。楽譜に記入していく。
     (4)作曲した小節は相手に渡した時点で固定され後に削除/変更はできない。
     (5)月の最初の1小節目を書く者は月ごとに交代する。また、各年の最初に書く者も年ごとに交代する。
        (よって12月と次の1月は同じ者が担当することになる。)


サブルール     sub(1)自分の書いた小節の次の小節に相手が書ける音符の数を指定できる。
      ex.[12]と書かれていれば任意の音を12音数を並べよ、という意味となる(2011年11月より)
      ex.[0〜12]と書かれていれば任意の音を0から12音数の範囲で並べよ、という意味となる(2012年1月より)
      ex.[-12]などマイナスの数値は休符の数を現し、休符を12個使用せよ、という意味となる(2012年3月より)
      ex.[-0]マイナス0の表記は、任意の数の音符を使用して自由に並べて良い、という意味となる(2012年12月より)
    sub(2)各月の第1小節目を担当する者が、
                楽曲の冒頭に「冒頭文」と呼ばれる短い言葉を添えることができる。(2012年2月より)


※サブルールは作曲の推進力を維持する事を目的に任意の月に追加/変更が行われている。







二人で行う即興演奏を楽譜を介してゆっくり形に残してみてはどうか、このような発想が《変容の対象》のきっかけだった。即興演奏時に現れては消えていく印象的な音に対して録音以外の方法で俯瞰できるシステムがほしいと考えていた頃でもあった。普段お互いが生活している土地の距離も考慮して、五線譜を使った交換型のやり取りを前提とした作曲というものが最善ではないか、と考え、こうして数分間の即興演奏を一ヶ月という期間を使って組み上げていく為の作曲ルールが考案された。

《変容の対象》は2009年の元旦より開始されたが、最初の2ヶ月(2曲)は以下のルールに従って書かれた。

  作曲上の基本ルール(2009年1月から2月まで)
 (0)ひと月に1曲の小品を作曲し1年間の12曲をひとつの組曲とする。
 (1)楽器は福島諭がPiano、濱地潤一がSaxophoneを担当する。
 (2)それぞれ自分の楽器を1小節ずつ交互に作曲していく。
   (お互いの音が同時に鳴ることはない。)
 (3)1小節の拍子、テンポは任意に変更できる、楽譜に記入していく。
 (4)作曲した小節は相手に渡した時点で固定され後に削除はできない。
   (各曲の第1小節目は2009年1月を福島諭が、2月を濱地潤一が担当した。)


その後、2009年3月から濱地潤一からの提案で(2)の変更点が加えられた。2010年の元旦を目前に(5)のルールが加えられ、冒頭のルールが現在でも《変容の対象》の最も基本的なルールとなっている。

+ 基本ルール (2) について
        現行の基本ルール(2)のやり取りは言葉だけではやや難解であるため、以下に実例を見る。
        下の楽譜は《変容の対象》2012年3月の冒頭1小節目である。
        この月はAltoSaxophoneの第1小節目から開始された。

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       それを受けて、pianoが第1小節目を書き、さらに第2小節目を書き加える。
       第2小節目ではpiano側が拍子の変更なども行っている。

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       その第2小節目に対してAltoSaxophoneが応答する音符を書き、さらに第3小節目を書き加える。
       第3小節目ではAltoSaxophone側が拍子の変更など行っている。

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このようにして小節は交互に組み上げられていくため、(リニアな時間の流れの中で行われる実際の)即興演奏では見られない時間の行き来の中で楽曲は形成されていく。時に音楽的な主従関係が1小節ごとに入れ替わるように感じられるのは、こうした作曲方法と無関係ではないだろう。